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Brilliant Harmonyが歩んできた、女声合唱の道は、「高音のみの芸術」として、音楽の中でも珍しい形態である。声による表現芸術だからこそ可能な、神秘的で奇跡的な響きの領域。混声や男声にはない、形容し難い美しさは、確たる知識とたゆまぬ努力から生まれるもので、たやすく表出できるものではない。しかしだからこそ、その美しさを求めて奮闘したくなるのである。実に魅力的な形態であると言えよう。
そんな女声合唱だが、残念なことにルネサンス・バロックといった、いわゆるクラシックの時代には作品が少なく、影が薄い。女性は教会で歌うことが禁じられていたのだから当然といえば当然だが、女声合唱を愛する人たちにとって、名曲の宝庫であるルネサンス、バロックの曲を楽しめない、というのはかなり寂しいことである。
そこで私は、ルネサンスの名曲を女声合唱にトランスクライブすることに挑戦した。果たして、この作業は考えるより遥かに難しいもので、この時代の様式を逸脱することなく、混声合唱体から女声合唱のスタイルに変換することがどれだけ難儀なことであるかを思い知ったのである。
しかし本日、ルネサンスの名作2作品をこうして女声合唱でご紹介できることになり、心から嬉しく思っている。
今後も、多くの女声合唱団に古の名曲を1曲でも多く味わっていただけるように、この分野の研究と編曲を続けていこうと思っている。
本日のプログラムは他に、地球環境、自然といったテーマを持つレパートリー、ダンサーYASUKOさんをお招きして、幻想的な世界を作ろうと思う。そして拙作「あどけない帰郷」を。戦争と平和を考える。今だからこそ。
最後までごゆっくりお楽しみください。
松下 耕
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